こんにちは。株式会社REUNIS(リユニス)
リユニス訪問看護ステーションの濱崎和也です。
突然ですが、皆さんはご自身や大切なご家族の「もしもの時(急変時)」について、どうしてほしいか話し合ったことはありますか?
医療ドラマなどで、心臓が止まってしまった人に「心臓マッサージ(胸骨圧迫)」をしているシーンをご覧になったことがある方は多いと思います。しかし、実際の心臓マッサージが「何のために行われ、どんなリスクがあるのか」については、意外と知られていないのが実情です。
本日は、いざという時の「延命処置」についてご家族で話し合う(人生会議:ACP)際の判断材料として、専門家の視点から分かりやすく解説いたします。
💡 心臓マッサージの本当の目的は「脳」を守ること
心臓マッサージと聞くと、「止まった心臓をもう一度動かすためのもの」というイメージをお持ちではないでしょうか? 実は、それは誤解です。
心臓マッサージの一番の目的は、「脳に血液(酸素)を送り続けること」なのです。
- 脳は血流が途絶えると数分で大ダメージ: 心臓が止まると、全身への血流がストップします。中でも一番ダメージを受けやすいのが「脳」です。わずか3〜4分間血液が途絶えるだけで、重大な後遺症が残ったり、命が助からなくなったりしてしまいます。
- 「手動のポンプ」で脳に血液を送る: 救急車が到着するまでの間、止まってしまった心臓の代わりに両手で胸を強く押しポンプの役割をさせることで、「なんとか脳だけには血液を送り続けよう」とするのが、心臓マッサージの本当の目的なのです。

⚠️ 知っておきたい「身体への負担(骨折のリスク)」
脳を守るための非常に重要な処置ですが、同時に身体には大きな負担がかかります。「力いっぱい押したら、あばら骨が折れてしまうかも…」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
- 骨折は起こりうることです: 結論から言うと、正しい強さ(約5cm沈むくらい)で胸を押し込むため、肋骨(あばら骨)や胸の真ん中の骨(胸骨)が折れてしまうことは決して珍しくありません。特に、ご高齢の方や骨がもろくなっている方の場合は、ほぼ確実に骨折を伴います。
- それでも、絶対に手を止めないでください: 骨折は後から病院で治療することができます。しかし、止まってしまった脳や命は、後から元に戻すことができません。骨が折れることを恐れて弱く押すよりも、命を救うためにしっかりと押し続けることが最優先です。
⏳ あくまで「つなぎの処置(時間稼ぎ)」であるということ
そしてもう一つ大切な事実があります。それは、「心臓マッサージだけで、心臓が再び動き出すことは非常に稀である」ということです。
心臓マッサージは、あくまでAED(自動体外式除細動器)を使うまでの間や、医師が根本的な治療を行うまでの間、脳を死なせないための「つなぎの処置(時間稼ぎ)」です。つまり、心臓マッサージの先には、人工呼吸器の装着などの高度な治療を受ける流れがセットになっていることが多いのです。

🗣️ だからこそ、元気なうちに話し合ってほしいこと
ここまで少し怖いお話もしてしまいましたが、なぜ私たちがこの事実をお伝えしたいかというと、その時はいつかは必ず、そして突然やってくるからです。
「いざという時」のために「知った上で、どうしたいかを決めてほしいから」です。
実は、病院に入院する際、多くの場合に医師から「もしもの時に心臓マッサージ(延命処置)を希望するかどうか」という決断を求められます。
突然のことで動揺し、「すぐにはお返事できません…」と迷われるご家族も少なくありません。
しかし、明確な意思表示がない場合、病院のスタッフは命を救うことを大前提とし、基本的に「心臓マッサージを行う(救命処置をする)」という判断を取ります。
それは、医療の現場において心臓マッサージだけをし続ける事は、医学的にはほとんど意味がない(高度な延命治療へ繋がる)と分かっていても、命を諦めないのが医療の基本ルールだからです。
- 「たとえ骨が折れても、どんな治療をしてでも、1分1秒でも長く生きたい(生きてほしい)」
- 「もし老衰や重い病気の末期で最期が近づいた時は、痛い思いをさせず、自然に安らかに見送ってほしい」
どちらの選択も、ご本人の意思であればそれが大正解です。いざという時に病院で慌てて決断を迫られる前に、「自分だったらどうしてほしいか」「家族にはどうしてあげたいか」を、ぜひ元気なうちに話し合ってみてください。
また、一度返事をしたあとでも何度でも変更することは可能です。
もし、ご家族だけでは話し合いが難しい、専門家の意見が聞きたいという時は、いつでも私たち訪問看護師にご相談くださいね。皆様の「どう生きたいか、どう最期を迎えたいか」という思いに、しっかり寄り添ってサポートいたします!
💡 日常の中で少しずつ備える「マイ・ナース」という選択も
とはいえ、「人生会議」を家族だけでいきなり始めて、結論を出すのはとても難しいことです。
「何から話せばいいか分からない」 「専門家の客観的なアドバイスも聞きながら、ゆっくり考えていきたい」「家族間では感情がぶつかってすすまない」
そんなご家族の思いに寄り添うために、リユニスでは『マイ・ナース』というサービスをご用意しています。
『マイ・ナース』は、皆様の「専属のかかりつけ看護師」として、日々の体調管理やちょっとした健康への不安を継続的にサポートするサービスです。 そして、その日常的な関わりや定期的なアセスメント(状態確認)の対話の中で、今回お話しした「もしもの時の備え(人生会議)」についても、ご本人やご家族のペースに合わせて自然な形で整理し、「見える化」していくお手伝いをしております。
皆様の大事なご家族に対する思いがあるからこそ、「家族間では感情がぶつかってすすまない」場面もたくさん経験してきました。本人はもちろん、ご家族の皆さんが納得して意思決定するためには、ゆっくり少しづつ、定期的に話し合っておくことが一番です。
いざという時の決断を、ご家族だけで抱え込む必要はありません。 日々の安心から未来の備えまで、皆様の「どう生きたいか」という思いに一番近くで寄り添うパートナーとして、ぜひ私たち「マイ・ナース」をご活用ください。

