こんにちは。リユニス訪問看護ステーション代表の濱崎です。
前回のブログでは「心臓マッサージ(胸骨圧迫)」の本当の目的についてお話ししましたが、今回はそれに続く重要なテーマ、「経口挿管(けいこうそうかん)と人工呼吸器」についてお話しします。
いざという時、ご本人とご家族が後悔のない選択をするための「人生会議」の判断材料として、医療現場のリアルな現状をお伝えいたします。
💡 人工呼吸器(経口挿管)とは?
医療ドラマなどで、患者様の口から管を入れて機械につなぐシーンを見たことがあるかもしれません。 これは自力で呼吸ができなくなった際、口から気管へ管を通し(経口挿管)、機械の力で肺に酸素を送る「究極の命綱」です。
心臓マッサージ等で一命を取り留めた後、あるいは肺炎などが重症化した際に、命をつなぐために行われる非常に重要な処置です。

⚠️ 知っておきたい「身体への負担」
命を救うための強力な手段である一方、ご本人の身体には大きな負担がかかります。
管が声帯を通るため、装着している間は声を出して話すことができなくなります。 また、喉に異物が入っている状態は強い苦痛を伴うため、基本的には鎮静薬(睡眠薬のようなもの)を使い、眠った状態で管理されることが多くなります。
現実①:一度つけると「外すのが難しい」
現場でご家族とお話ししていると、「少しだけつけて、良くなったら外せばいいですよね」と聞かれることがよくあります。 しかし現実には、特にご高齢の方や重い持病がある方の場合、一度機械の力に頼ると自力で呼吸するための筋力(呼吸筋)が急速に落ちてしまいます。そのため、「再び自力で呼吸できるようになる(=機械を外す)のは非常に困難」となるケースが少なくないのです。
現実②:日本では「途中でやめる」ことが困難
「こんなに苦しそうで声も出せないなら、もう機械を外して楽にしてあげたい…」 面会に来られたご家族から、そう涙ながらに訴えられることもたくさん経験してきました。 しかし、現在の日本の法律や医療倫理の観点から、「一度開始した生命維持装置(人工呼吸器)を、延命中止を理由に外す」ことは極めて困難です。
結果として、長期的な療養施設へ転院し、機械に繋がれたまま最期の時を待つことになってしまう場合もあります。
現実③:長引く場合に迫られる「気管切開」という選択
経口挿管のまま人工呼吸器の装着が長引く(一般的に1〜2週間以上)と、口の中や喉の損傷、感染のリスクが高まります。
そのため、機械が外せないと判断された場合、医師から「気管切開(きかんせっかい)」を提案されます。

これは首の正面(喉仏の下あたり)に小さな穴を開け、そこから直接気管に短い管を入れる手術です。 口の中に管がなくなるため、口のケアがしやすくなる、鎮静薬を減らして目を覚ました状態を保ちやすくなる、場合によっては食事の訓練ができるようになる等のメリットがあります。
しかし、「首にメスを入れて穴を開ける」という手術が必要になること、そして「自力で呼吸ができない(人工呼吸器が外せない)という根本的な状況は変わらない」という現実があります。
結果として、気管切開をした状態で長期的な療養施設へ転院し、最期の時を待つことになるケースも多いのです。 この「喉に穴を開けてまで延命を続けるべきか」という決断もまた、ご家族を深く悩ませることになります。
🗣️ だからこそ「つける前」の決断がすべてです
「どんな状態になっても、1分1秒でも長く生きてほしい(生きたい)」
「声も出せず機械につながれるくらいなら、自然な最期を迎えたい」
どちらの選択も、ご本人の意思であればそれが「大正解」です。
しかし、病院のベッドの上で突然医師から「人工呼吸器をつけますか?」と決断を迫られた時、パニック状態の中で冷静な判断をするのは不可能です。
だからこそ、元気なうちに「もしもの時どうしたいか」をご家族で話し合っておくことが、ご本人らしい生き方を守る唯一の手段なのです。
🍀 正解のない決断を、一緒に考えませんか?
とはいえ、「縁起でもないから」とご家族間では話が進まなかったり、感情がぶつかり合ってしまったりと、ご家庭だけで人生会議を進めるのは本当に難しいですよね。
また、人生会議の内容はそのプロセスを含めて形として残しておくことが推奨されています。
そんな皆様の思いに寄り添うため、リユニスでは自費サービス『マイ・ナース』をご用意しております。
『マイ・ナース』は、皆様の「専属のかかりつけ看護師」として定期的に訪問し、日々の体調管理から健康相談、そして今回お話しした「もしもの時の意思(人生会議)」をゆっくりと時間をかけて整理し、見える化するサービスです。
介護保険や医療保険の枠組みには収まらない、ご家族の「あと少し助けてほしい」に柔軟にお応えします。ケアマネジャーさんともしっかり連携を取り、ご家族の負担を私たちが肩代わりいたします。
いざという時の不安を、ご家族だけで抱え込まないでください。 急性期の最前線で培った知識と経験で、皆様の「自分らしい物語」を紡ぐサポートを全力でさせていただきます。お気軽にご相談ください!

